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【マネジメント・管理職の基本④】適切なアサインメント

前回の記事では、メンバーのCanやKnowを知識・考え方・技術に分解して理解することをお伝えした。
CanやKnowに加えて、WillとPersonalityを加えた4つの視点でメンバーを丸ごと理解すれば、
それぞれが重なる適切なアサインメントが可能になる。
適切なアサインメントはメンバーのパフォーマンスやモチベーションを最大化する出発点だ。

目次

管理職が使いわけたい2つのアサインメント ①役割のアサインメント

アサインメント(Assignment)とは「仕事の割当て、任命」という意味だが、アサインメントには2種類ある。
1つは「役割のアサインメント」であり、もう1つは「業務のアサインメント」だ。
もう少し具体的に見ていこう。

役割は部長・課長のような「職級」、プロジェクトマネージャー・プロジェクトリーダーのような「立場」、
営業・システムエンジニアのような「職種」、盛り上げ役・サポート役などさまざまな種類がある。
それぞれの役割に期待する期待役割があり、その期待役割に応じて給与や手当が設定されていることが多い。
管理職はまず部下にどのような役割をアサインするのか、を考える必要がある。

たとえばあなたが営業部に所属しているならば、以下のような役割などが考えられる。

・グループ内でトップクラスの目標数字を期待する
・営業チーム内でのリーダー的な振る舞いを期待する
・新人の育成を期待する
・新しい顧客の開拓を期待する
・営業のサポートをする内勤営業的な役割を期待する          など

アサインメントの可能性は複数ある。まずこの役割を明確にしてあげたい。
そうしないと、あれもこれも全部お願いするという事態になりがちで、部下の業務がすぐに逼迫してしまうし、
やるべき事が多すぎて混乱する。結果、部下のパフォーマンスが落ちる。

上司はまず部下の役割を明確にし、複数の役割を期待する場合は必ず優先順位を明確にしてあげよう。
くれぐれも、詰め込み過ぎには注意したい。 

管理職が使いわけたい2つのアサインメント ②業務のアサインメント

役割のアサインメントが決まったら、次は「業務のアサインメント」を考えていく。
業務のアサインメントはその役割を果たすために必要な業務を洗い出し、その業務を任せていくということだ。
的確な業務を洗いだし、しっかりとその業務を任せていけば、役割を果たしてくれる確率がぐっと高まる。

たまに(よく?)見かけるのは、役割のアサイメントだけをやってそのままメンバーを放置し、
業務のアサインメントをしない管理職だ。これは非常に良くない。
たとえば初めてある役割を与えられたとき、多くのメンバーは何をどうすれば良いかわからない状態になる。
まれに自律的にいろいろなことを学び、考え、スラスラと役割を実行していく優れ者がいるが、あくまで例外だ。

管理職は何をすればその役割を果たせるかを具体的に伝え、役割を果たすための具体的業務をアサインしよう。
干渉しすぎも良くないのだが、放置プレイは管理職の怠慢だ。

極端な例でいえば、新人育成の役割をアサインするときには、本来はどのように育成すべきかを具体的に洗いだし、
そして育成対象となる新人を直属で配置する必要がある。
しかし現実には、「『部内の新人に色々と教えてあげて』という指示だけで直下に新人が配属されていない」という
状況があったりする。これは良くない。

期待役割を実行できる環境づくりまでやってはじめて、適切なアサインメントが完了したと言える。
皆さんのアサイメントは適切になっているだろうか。ぜひ振り返って欲しい。

そもそもマネジメント・管理職の役割とは何か

メンバーの丸ごと理解やアサイメントの重要性まで書いたところで思い至ったのだが、
そもそもマネージャーの役割が何かということを説明していなかった。本来であれば冒頭で伝えるべき内容だが、
ここでステップバックして「マネージャーの役割とはなにか」について書いていきたい。

マネージャーの役割は人によってさまざまな見解があるが、私の定義は次の通りだ。
「マネージャーとは、担当組織の目標達成や問題解決に責任を追う人」 である。

担当組織の目標達成はわかりやすいと思う。
営業部門であれば売上目標の達成になり、生産部門であれば品質を維持した生産量の達成、
マーケティング部門であれば新規顧客の獲得だったり、システム開発部門は期限通りにシステムリリースする、
などになる。これを実践しているマネージャーは多いと思う。

一方で「担当組織の問題解決」はどうだろうか。
たとえば与えられたミッションや目標が非常に挑戦的なもので、達成するために現在の自部門の人材では
達成が困難だと考えたとき、あなたはどう対処するだろうか。

そのミッションや目標を引き受けておきながら「人がいないから無理だな」「また無理難題が降ってきた」と
思ったまま以前と同じ行動をつづけ、未達成で終わってはいないだろうか。
そして未達成の原因を「無茶ぶりする会社や上司が悪い」と心の底では他責にしてはいないだろうか。

もちろん、世の中には本当の無茶振りや無理難題も存在するが、
マネージャーが役割を果たせていない可能性も大いにある。
会社や上司から与えられたミッションや目標を「あるべき姿」だと仮定し、
自部門の現状とのGAPを「問題」だとすれば、その問題を解決するのがマネージャーの役割だ。

たとえば次のような行動が期待される。

・問題が 人員不足であり、 採用予算があるならば、すぐに求人をはじめる
・採用予算がなければ、予算交渉をはじめる
・採用が難しければ、部内の人材育成プログラムを開発する
・外部研修が必要であれば、妥当な研修プログラムを探す
・研修予算もなければ、知人ネットワークで支援者を探す 
・上司の知見やネットワークを活用できないか検討する
 ・他部門や外部企業とのコラボレーションで解決策を見出だせないかを検討する
・クラウドファンディングを活用して資金調達してしまう               など

問題解決につながる行動は挙げればキリがない。
これらをすべてやり切った上でも目標達成が難しいならば、ミッションや目標の変更を交渉するはありだ。
ただ実際にはそこまでやり切ってくるマネージャーは少ないし、
そもそもマネージャーがこれら選択肢を持てていない事も多い。

マネージャーが十分に役割を果たせていないのだ。

上位管理職に必須な問題解決力

もちろん、マネージャー(ここでは課長クラスを想定している)が問題解決できない場合は、
部長・本部長・執行役員などの上位管理職が、代わりに問題解決を行うべきだ。

部長は部、本部長は本部が責任範囲だが、そこに内包される課やチームの問題は当然、部の問題でもある。
そして上位管理職ほど、問題解決の選択肢を幅広くもっていなければならない。
「マネージャーに任せている」と言って、問題が解決されないままでならば、それは上位管理職の怠慢である。

ここで難しいのは、そうやって問題解決の責任を上位管理職に置き始めると、
最終的にすべての責任が代表取締役社長に集約される。ある意味それはその通りなのだが、
あらゆる問題の解決策を社長が指示をし、推進するのは現実的ではない。

社長直轄のプロジェクトとして、最重要問題の解決を推進する必要はある。しかしすべては無理だ。
よって、それ以外の問題については担当役員・担当部長などを任命する。
つまり、代表や経営は任命責任を負う。

任命する際に、「この業務・プロジェクトの責任者は部長の●●である」と周囲に明言することで、
責任の所在が明確になり、誰がリードするか宙ぶらりんな中途半端な業務が激減する。オススメしたい。

任命された当該管理職は、問題解決を遂行する遂行責任を負う。
上位管理職が任される問題解決は複雑なもの多く、部門横断のアプローチが求められることも多い。
上位管理職はビジネスプロデュースやプロジェクトマネジメントスキルがないと務まらない役割である。

それではまた。

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執筆者

中野 崇のアバター 中野 崇 ビジネスプロデューサー/ビジネスデザイナー

・法人向け:新規事業開発と組織開発の伴走型・自立支援型コンサルティング
・個人向け:自分らしいキャリアデザイン支援(コーチング)
・モットー:家事育児、ときどきビジネスデザイナー
・抽象概念と具体的施策の間をつなぐ実践知の体系化が得意
・好きな漫画:「うしおととら」「キングダム」「清く柔く」 など

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