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【ビジネスプロデューサー①】ビジネスプロデューサーとは?

この記事を読んでいるあなたは、ビジネスプロデューサーという職種について興味を
持っていると思う。残念ながらまだまだ社会的認知が低い職種だが、
このブログでビジネスプロデューサーの必要性・役割・価値などを伝えていきたいと思う。
本記事はその初回である。

目次

ビジネスプロデューサーが求められている理由


ビジネスの問題が複雑かつ変化が速い現代において、
多様な専門家がワンチームになり、スピーディに問題解決を実現しないと
時代に取り残されてしまうリスクが高まっている。

特にCOIVD-19が発生した2020年以降は、経営改革・事業改革を余儀なくされた企業も多い。
新規事業開発・DX(デジタルトランスフォーメーション)推進などの言葉が、
バズワード的に氾濫しているが、背景には「このままではいけない」という危機感がある。

一方で、「このままではいけない。しかし、何を・どうしたら良いかわからない…」という状況に陥り、
身動きが取れなくなっている企業・個人も多い。

特に新規事業開発やDX推進という業務は、社内に事例やノウハウが少なく誰もが手探り状態。
不安・プレッシャーも大きく、抵抗勢力との対峙も必要になる。
道なき道をゆき、逆風を受けながらも自分たちが納得できる最適解を見つけだし、
柔軟に修正を加えながら業務を進めることが求められる。

また、新規事業開発・DX推進では、経営・ビジネスコンサルタント・リサーチャー・
プロダクトマネージャー・UX/UIデザイナー・ITコンサルタント・開発プロジェクトマネージャー・
システムエンジニア・営業・マーケター・法務・財務・人事など、
多様な専門家とのコミュニケーションが発生する。

そしてこれら専門家がすべて自社の正社員ということはなく、
多くの場合がパートナー企業や個人事業主とのコラボレーションになる。
受託業務の場合はここに顧客や顧客のパートナー企業などが加わるため、
関与者(ステークホルダー)が数十名になる事も珍しくない。

会社・業務内容・職種・職位・年齢などバックボーンが異なれば、
価値観・コミュニケーションのとり方・優先順位の考え方などが必ず異なる。

結果的に、ワンチームでプロジェクト推進する難易度が劇的に高まってしまう。

したがって、新規事業開発やDX推進に代表される複雑かつ前例が無いプロジェクトでは、
目標達成に向かってプロジェクトやチームを束ね、先導する存在が非常に重要となる。

私はそのような先導役を「ビジネスプロデューサー(Business Producer)」と呼んでいる。

ビジネスプロデューサーとは

私はビジネスプロデューサーのことを、

「ビジネスの目的・目標達成を実現するために、必要な経営資源(情報・ヒト・カネ・モノ)を調達し、
多様性あるチームのパフォーマンスを最大化させ、顧客への提供価値を最大化する責任者かつ伴走者」


と定義している。

なお、もともとビジネスプロデューサーという言葉は一般社団法人 ビジネスプロデューサー協会(BPA)の
登録商標であり、BPAが定義するビジネスプロデューサーは次の通り。

ビジネスプロデューサー とは、既成概念を打破する発想力を持ち、異なる価値観や才能あふれる
専門分野の人たちを有機的に関連づけ調整する指導者のことです。彼らは、価値あるビジネス創造を使命とし、
現在、閉塞し問題に満ちている社会の歪みをビジネスチャンスに変える誇り高き勇者でもあります。
すなわち、次代を切り拓く才幹あるリーダーを私たちは、ビジネスプロデューサーと呼んでいます。

ビジネスプロデューサー – Business Producer – BPA (jbpa.biz)より

次世代リーダー・変革者などのニュアンスが強い表現だが、前段の「異なる価値観や才能あふれる
専門分野の人たちを有機的に関連づけ調整する指導者のことです」という点は、私の定義とも合致している。

ビジネスプロデューサーに必要な資質と技術

「多様性をもつチームのパフォーマンスを最大化させる」「専門家を有機的に関連づける」のように
言葉で表現するのは簡単だが、実行は簡単ではない。というか、とても難しい。
多様な専門家とつながるためには、幅が広くて深い知識や技術が必要となるからだ。

そして、ビジネスプロデューサーの資質・技術として最も重要なものを1つあげるとすれば、
それは「両利き」であることだ。

・論理と情理
・規律と自由
・頑強と柔軟
・攻めと守り
・情熱と冷静
・変化と安定
・厳しさと優しさ        などなど。

両利きとは二律背反で両立させるのが難しい要素を状況に応じて巧みに使い分けられる事を指す。

もちろん論理的であるよりも情に訴えるアプローチの方が得意、
規律ある組織よりは自由な組織を好むなど得意不得意・好き嫌いはあって良いけれども、
「状況に応じて使い分けられる」引き出しをもっていて欲しい。

このような説明をすると「それってどちらも中途半端という事になりませんか?」
という質問が飛んで来ることもあるが、両利きというのは両方とも利き腕という事なので
中途半端ではない。どちらも、きちんと使えるのだ。

両利き人材のイメージを深めてもらう為にもう少し説明を加えてみる。

・分析や論理的な議論が得意でプレゼンテーションも理路整然としているが、
人の気持ちには鈍感な人(論理>情理)

・マイペースでときに創造性ある発言をするが、集団行動を嫌う人(自由>規律)

・定型業務をミス無く確実に遂行するが、イレギュラーな仕事への対応はすごく苦手な人(安定>変化)

・何でも聞き入れてくれて懐は深いが、人を叱ることができない人(優しさ>厳しさ)

それぞれ職場で具体的に思い浮かぶ人がいないだろうか?

すごく論理的であること、安定感抜群であること、優しさが溢れていること。
どれも素晴らしい個性なので、否定されるものではない。
ただ、ビジネスプロデューサーとして役割を果たすためには片手落ち感がある。
偏った能力だけでは多様な専門家とつながり、パフォーマンスを最大化させることは難しいのだ。

ビジネスプロデューサーの9つのコアスキル

このように、ビジネスプロデューサーは両利きであることが求められる。
両利きをシンプルに表現すると、論理的で考える力に長けた論理優位型スキルと、
人間的で感じる力に長けた情理優位型スキルの両利き、ということになるだろう。

私は、ビジネスプロデューサーが身につけるべき両利きスキルを9つのコアスキルとして整理している。

<ビジネスプロデューサーの9つのコアスキル>
 ①行動力
 ②重層的な知識
 ③柔軟な思考力
 ④チームビルディング力
 ⑤方向づける力
 ⑥会議運営力
 ⑦伝達力
 ⑧プロジェクトマネジメント力
 ⑨包容力

各コアスキルは論優位型スキルと情理優位型スキルに分解される整理としているが、
各コアスキルを構成する論理優位型スキル・情理優位型スキルを、どちらも習得していると、
両利きとしての統合スキルを習得している、と考える。

9つのコアスキルの概要については、次の記事で説明したいと思う。

それではまた。

❏書籍紹介
ビジネスプロデューサーの仕事を、新規事業開発の企画プロセスと重ねて解説しています。
よろしければ手に取ってみてください。
>>『多彩なタレントを束ね プロジェクトを成功に導く ビジネスプロデューサーの仕事』

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執筆者

中野 崇のアバター 中野 崇 ビジネスプロデューサー/ビジネスデザイナー

・法人向け:新規事業開発と組織開発の伴走型・自立支援型コンサルティング
・個人向け:自分らしいキャリアデザイン支援(コーチング)
・モットー:家事育児、ときどきビジネスデザイナー
・抽象概念と具体的施策の間をつなぐ実践知の体系化が得意
・好きな漫画:「うしおととら」「キングダム」「清く柔く」 など

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