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【マネジメント・管理職の基本⑧】語源から管理職の役割を考える

これまでの記事で管理職の役割や心構えを伝えて来たが、
「英単語」という視点からマネジメント・管理職の役割を考えていくとまた違った発見がある。

ご存知の方も多いと思うが、managerは英語のmanageが変化したものだ。
manageは「なんとかする・うまくやる・やりくりする」のような意味なので、
managerは「なんとかする人・うまくやる人・やりくるする人」となる。

つまりmanagerとは、
「組織の目標達成や問題解決を、さまざまな事を上手にやり繰りしながら、何とか実現する人」である。

目次

管理職=チェックする人という誤解

Managerを日本語にすると「管理職」となる。私も記事のなかで管理職という言葉を使っているが、
実は誤解を招きやすい言葉でもある。中には「管理職=管理する人=物事をチェックしたり監視する人」
というイメージを持っている方もいるだろう。

働き方改革推進が流行になっている今日では、労働時間・残業時間・有休取得の状況をチェック、
値引き・外注・購買などの各種申請が適切に行われているかをチェック、
営業であれば商談の数や営業日報が提出されているかをチェック、
セクハラ・パワハラなどのハラスメントなどが横行していなかをチェック。

管理職とはチェックチェックチェックのチェックマン、というイメージである。

もちろんこうしたチェックも重要だ。
法律やルールを遵守しながら、適切な事業活動を行うことは企業の責任であり、
その実現に向けた管理職の役割は大きい。しかし、これまでにも伝えているようにそれは管理職の役割の
一部であって、全てではない。管理職は担当組織の目標達成や問題解決を何とか実現することが役割であり、
その一部として、法令遵守や実行すると決めたことが推進されているかをチェックするのである。

しかし、管理職であるあなたがチェックするだけのチェックマンになっていたら要注意だ。
部下との信頼関係は築けていないはずだし、組織の問題や目標が達成されていない可能性が高い。

管理職に期待される本来的な役割は、チェックによってルールが守られていない・進捗が思わしくない等の
問題が発見された際に、要因を的確にとらえ、問題を解決することである。

にも関わらず、管理職がチェックだけを行い、解決方法を提示しないチェックマンであれば、
部下からすれば指摘をするだけの嫌なヤツにしかならない。

しかし現実的には、チェックマンになっている管理職ほど
「自分はやる事をやっているが、部下が決めたことをやってくれない」等とぼやく。
自分が管理職としてごく一部の役割しか果たしていない事に気づいていないのだ。

ステークホルダーのマネジメント①:上司を「補佐」する

さて、担当組織の目標達成や問題解決を何とか実現しようと考えるとき、
さまざまな業務をチームメンバーにアサインしていくと思うが、そもそもメンバーがNOと言うこともある。
こうした事が起きる時は、大抵上司と部下との間に信頼関係が築けていない。

要因はさまざま考えられるが、1つには上司が部下のことを自分の手足だと勘違していて、
いつも仕事を一方的にお願いするだけ…などが挙げられる。
仕事が一段落したと思ったらすぐに上司から仕事を頼まれ、
その上司は早々に仕事を切り上げているという苦い経験は誰もがもっているはずだ。

このような上司にはメンバーを「支援」するという意識が決定的に欠けている。
責任感あるマネージャーならば、人手が足りなければ自分がプレイングマネージャーとして支援するものだ。
そして、マネージャーから定期的な支援を受けているメンバーは、いざという時に力を貸してくれる。

ところで、仕事には担当 組織メンバーだけでは実現が難しいことも多々発生する。
すでにマネージャーもプレイングとして最大限支援をしている場合、手詰まり感を感じる人もいるようだが、
もっと視野を広げることを提案したい。

自分や自部門以外にも会社には多くの資源がある。まず上司である。
上司は仕事を振ってくる人ではなく、自分の仕事を手伝ってくれる資源としてとらえてみよう。
上司も昔はプレイヤーであり、何かしら実績やスキルがあるから、いまそのポジションにいる(はずだ)。

もちろん、いきなり「手伝ってください」とお願いしてもNOと言われるのがオチ。
上司を自分の資源として活用できる状態にするには、日頃から上司を「補佐」することが大切だ。
上司からすれば、いつも補佐して助けてくれる部下からの頼みごとであれば、快く応じてくれるだろう。
要するに、上司と部下の関係でもGIVE&TAKEの原理は働くということだ。

ステークホルダーマネジメント② 他部門と「連携」する

それから他部門から協力を得る、という視点も欠かせない。
各部門にもそれぞれWill・Can・Must・Personalityがあり、日々忙しくビジネス推進しているわけなので、
必ずしも協力が得られるとは限らない。

しかし、自部門の余裕がある時にできるだけ他部門を「支援」していたり、
相互尊重の精神でスムーズな「連携」を心がけていれば、いざという時に力を貸してくれるものだ。

現在は忙しい時代である。
積極的に支援する意識をもっておかないと、日々の自部門の業務遂行に追われてしまう。
しかし、いざという時に頼りになるのは上司であり他部門だ。

「上司の補佐」「部下の支援」「他部門の支援・連携」という意識をもって、
会社のあらゆる資源を活用できれば、多くの問題は解決する。目標達成にも近づく。

マネジメント・管理職はあらゆるステークホルダーと良好な関係を築き、
彼らとの関係性をもマネジメントする必要がある。

世の中はなんだかんだいって、GIVE&TAKEでまわっているのだ。
まずはGIVE(与える・支援する)ことから始めるのが大切だ。

会社の資源をフル活用できるかできないかは、ひとえに管理職の力量次第。
さまざまな支援をうまく獲得しながら、何とかどうにか問題解決・目標達成を推進していく。

それが管理職、やりくり上手としてのマネージャーである。

それではまた。

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執筆者

中野 崇のアバター 中野 崇 ビジネスプロデューサー/ビジネスデザイナー

・法人向け:新規事業開発と組織開発の伴走型・自立支援型コンサルティング
・個人向け:自分らしいキャリアデザイン支援(コーチング)
・モットー:家事育児、ときどきビジネスデザイナー
・抽象概念と具体的施策の間をつなぐ実践知の体系化が得意
・好きな漫画:「うしおととら」「キングダム」「清く柔く」 など

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