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【マネジメント・管理職の基本⑦】コンプライアンスのとらえ方

今回はコンプライアンスと社内規定の運営・管理について考えたいと思う。

目次

コンプライアンスは法令遵守のこと

コンプライアンスは英語:Complianceのことだが、日本語では「法令遵守」と訳されることが多い。
法治国家において、個人が生活するうえで法律を守るのは当たり前のことだが、
「企業も法律を守りましょう」ということだ。

たとえば次の法律は皆さんも耳にしたことがあるだろう。

・労働三法(労働基準法、労働組合法、労働関係調整法)
・会社法
・独占禁止法
・下請法
・個人情報保護法
・労働者派遣法
・景品表示法(景表法)               など

挙げればキリがない。 管理職のあなたがすべての法律を網羅的に把握する必要はないが、
自社事業に影響を与える法律が何か、その法律において重要な点は何か、については理解して欲しい。

管理職に法律の知識がないまま物事を判断してしまい、気付いたら法律を犯していた…では話にならない。
世間では粉飾決算・偽装表示などが常に報道されているが、そうした事例の要因として、
経営や管理職の無知によってチェック機能が働かず、引き起こされたものも多いと推察する。
(確信犯ならなおタチが悪いが…)

2019年4月の労働基準法改正、2020年4月の派遣法改正など、近年は労働・雇用に関する法改正が続いている。
管理職は改正内容をしっかりとキャッチアップしなければならない。
キャッチアップといっても、法律に関しては独学は避けるべきだ。リスクが大きすぎる。
社内の法務・労務や社労士など専門家などから学ぶべきであり、経営としては、これら知識を正しく
インプットする機会を提供しなければならない。

社内規定をマネジメントする・管理するという発想

法律で定められている事項だけでなく、社内規定・社内ルールの運用・改善も重要である。
法律が規定しているのは「日本国の運営に必要なルール」だが、会社の事業を円滑に運営するには、
より細かいルールが必要となる。これが社内規定やルールだ。

管理職はこの運用・改善をする必要がある。
具体的にはまず規定を理解し、規定やルールに則り日々の承認や判断を行っていく。
予算・値引き・購買・外注利用・経費精算の承認などがよくある業務だ。

管理職=承認する人というイメージを持っている人もいると思うが、
管理職の基本業務として承認作業には一定の時間を費やすことになる。

ところで、ここでは「社内規定の運用・改善」と表現しており、「遵守」という言葉は敢えて使っていない。
というのも、社内規定は随分前につくられたもので、慣習的に続いているものも多い。

事業環境や顧客ニーズが変化しているにも関わらず、規定が更新されていないことで、
「形骸化」・「現場の負担増」・「ポイントのがずれている」など、
問題が発生しているケースが散見される。つまり規定が機能していないのだ。

にも関わらず、管理職が遵守意識を持ちすぎると、いつまでも悪しき規定やルールが改善されない。
そうではなく、良い部分はしっかりと運用しながらも、問題点は自分たちの手でより良いものに改善していく。
社内規定もマネジメント対象としてして運用・改善・管理していく、という意識で向き合ってもらいたい。

社会の倫理観を忘れない

法令遵守、社内規定の運用・改善だけでも不十分だ。「社会の倫理観」もしっかりと押さえておきたい。
この観点は管理職の中でも部長、部長よりも執行役員、執行役員よりも経営のように、
経営に近づくほど強く意識すべき視点だ。

社会の倫理観とは、

「環境配慮を怠らない」
「誇大広告を行わない」
「暴利を貪らない」
「雇用創出という社会の公器として役割を忘れない」
「社会貢献活動へ参加する」

などが挙げられる。
資本主義である以上、企業が売上・利益を追求して成長を志向することは避けられない。
また、生みだした利益を事業へ再投資することで顧客への提供価値を向上させ、社員の長期的な雇用維持や待遇改善を
実現するという、利益・顧客満足・従業員満足の三方良しを実現することこそが経営の役割である。

しかし「社会の倫理観」が欠如すると、
法律に定めがないからOK!社内に規定がないからOK!最終的には儲かれば何でもOK!という利益偏重型の
マネジメントになりやすい。こうなってくると、いくら利益を出していたとしても、視野を社会全体・地球全体へと
広げたときに、その企業の存在が社会にとって害悪になっている…という事もある。

そうならないためにも、社会の倫理観を忘れずにマネジメントする必要がある。
コンプライアンスとは、法令遵守だけでなく、社内規定の運用・改善、社会の倫理観という視点までを含めた
概念だと理解してもらいたい。

それではまた。

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執筆者

中野 崇のアバター 中野 崇 ビジネスプロデューサー/ビジネスデザイナー

・法人向け:新規事業開発と組織開発の伴走型・自立支援型コンサルティング
・個人向け:自分らしいキャリアデザイン支援(コーチング)
・モットー:家事育児、ときどきビジネスデザイナー
・抽象概念と具体的施策の間をつなぐ実践知の体系化が得意
・好きな漫画:「うしおととら」「キングダム」「清く柔く」 など

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