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【ビジネスプロデューサー⑩】リサーチスキル:デスクリサーチ

課題設定には的確な現状分析が必要であり、
現状分析はリサーチ・データ分析スキルに支えられている。

一口にリサーチと言っても様々な手法があり、それぞれメリット・デメリットがある。
各手法の特徴を理解して使い分けることが重要だ。
以下の図は、代表的なマーケティングリサーチの手法と特徴をそれぞれ一覧にしたものだ。

代表的なリサーチ手法の特長比較

リサーチ手法を選ぶ際は、取得したい情報が得られる手法を選ぶということが大前提になるが、
コスト(リサーチで必要になる費用)・スピード(情報を得るまでに必要となる期間)・
エリア(リサーチが実施可能なエリア)・情報の深さ(どれだけ顧客ニーズやインサイトに迫れるか)・
情報の精度(取得した情報がどれだけ信頼できるか)・加工容易性(取得したデータを手軽に分析できるか)
などを総合的に考慮していく。

専門的なリサーチを行う場合は調査会社の協力を仰ぐことになるが、
ビジネスプロデューサーとしてデスクリサーチ・インタビュー・インターネットリサーチの3つは、
自分自身でリサーチ設計ができる事が望ましい。

というのも、方向づける力は課題設定力と解決策の着想力の統合スキルとしているが、
課題設定と解決策着想を別の人で行うと、課題が的確に伝わらず的外れな解決策が生まれるため、
課題設定を行った人がそのまま解決策まで考えられることが理想となる。


しかし実際には、現状分析やリサーチが得意な人材は解決策の着想が苦手なことが多く
(顧客の頭にあるアイデアを整理することは得意)、解決策の着想が得意な人材は現状分析や
リサーチの精度が甘いことが多い。
現状は、課題設定力と解決策着想力をともに保有している人材が少ないのだ。

人材不足ということはスキルとしての市場価値も高いので、
課題設定力と解決策着想力それぞれの起点となるリサーチスキルの習得は、
キャリア戦略としても有効だと思う。


それではまず、デスクリサーチのポイントをお伝えしていこう。

目次

ビジネスプロデューサーが習熟したいリサーチスキル① デスクリサーチ

デスクリサーチとは、WEB・新聞・雑誌等での掲載情報、政府機関や調査会社が既に取得・公表している
データを集める手法である。WEB検索を使えば誰でも・手軽に情報収集できる時代だが、
誰もが自由に情報発信できる時代でもあるので、玉石混交の情報が世の中に膨大に生まれている。

検索で上位に表示されている情報=正確な情報というわけではありません。
出自不明な情報・コピペ情報・不正確な集計・恣意的解釈・誤解釈などなど・・・情報の罠はいたる所に
あるので、「情報を見極める視点をもつ」ことと「信頼できる情報ソースを知る」ことが重要になる。

そこで、情報を見極める視点の5W1Hを紹介したいと思う。

情報を見極める視点:5W1H

●What:収集されている内容
リサーチ目的に合致する内容かを確認する。
当たり前のことだけれども、そもそも求めている内容である必要がある。

Whom:だれを対象にして収集した情報か
特に数値やグラフが引用されていた場合、誰を対象者とした結果なのかを確認すること。
例えば記事や文章の中で20代女性のことを記述していたとしても、
引用されている数値は女性全体や女性20〜39歳など、対象者が微妙に違っている場合がある。 

Who:だれが収集・編集した情報か
リサーチを行った企業・人が誰なのかを確認する。
良くも悪くも、大部分の情報は何らかのポジショントークとセットで発信されている。
情報発信者の業界・職業などと利害が一致する、ポジティブな部分のみが語られている可能性がある。
「語られていないことが何か」に着目することも大切。

Why:情報発信や情報収集の目的
その情報やデータが何のために発信・収集されているのかも確認する。
情報発信の目的が第三者としての実態把握や事実の伝達である場合、
「客観的な情報」ということが重要になるので信頼できる確率は高くなる。
一方で、広告宣伝目的・営業目的の文脈ならば、その意図を加味して情報を解釈する。

When:情報が収集された時期・期間
いつ収集・編集された情報なのかを確認する。
WEB上の記事は良くも悪くも、新しい情報と古い情報が混在している。
特に市場規模・トレンド・生活者意識など、年月の経過とともに大きく変わり得る情報を探している場合、
情報の鮮度(いつ収集されたものか)は非常に重要。

●How:情報が収集された方法
その情報がどのような手段・手法で収集されたのかを確認する。
手法ごとにデータの特徴があるので、信頼できる範囲はどの程度かを理解する必要がある。


以上が情報の信頼度をチェックする5W1Hだ。
すべての情報をこの視点でチェックするのはとても骨が折れますし難しいと思う。
ただ、視点として常に意識するだけでも価値がある。

「情報の信頼度はどれくらいだろう?」という意識を持ち続ければあなたの情報感度は高まり、
情報を鵜呑みにせず、客観的に解釈・吟味できるようになっていくものだ。

情報化・デジタル化が加速すればするほど、
信頼できる情報の目利き力は価値を増していくスキルである。

それではまた。

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執筆者

中野 崇のアバター 中野 崇 ビジネスプロデューサー/ビジネスデザイナー

・法人向け:新規事業開発と組織開発の伴走型・自立支援型コンサルティング
・個人向け:自分らしいキャリアデザイン支援(コーチング)
・モットー:家事育児、ときどきビジネスデザイナー
・抽象概念と具体的施策の間をつなぐ実践知の体系化が得意
・好きな漫画:「うしおととら」「キングダム」「清く柔く」 など

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