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【ビジネスプロデューサー⑫】リサーチスキル:インターネットリサーチ

目次

ビジネスプロデューサーが習熟したいリサーチスキル③ インターネットリサーチ

インターネットリサーチは、調査会社が提供する有料サービスの中では
最もよく活用されている調査手法である。日本マーケティングリサーチ協会が毎年実施している
「経営業務実態調査」に調査手法の構成比率が掲載されているが、
第46回の最新調査結果でもインターネットリサーチの比率は約31.3%であり最大の比率を占めていた。

インターネットリサーチでは、100名とか1,000名など大人数の回答結果を、
早ければ数日~1週間で取得することがでる。インタビューのように課題の詳細や価値観・感情を
とらえる事には向いていないが、「どのような課題をもった人が・何名くらい・何%くらいいるのか」を、
定量的に把握することができるため、課題の大きさの確認や仮説検証に向いている。

たとえばDX新規事業企画で社内プレゼンテーションを行う際に、
チームで設定した顧客課題が大きいことや、ソリューションへの期待値や利用意向の高さを数字で
示すことができるため、プレゼンテーションの説得力を高める材料としても活用されている。

定量調査と定性調査

先の文章で「定量的」という言葉を使ったが、
リサーチ手法は得られる情報の性質から定量調査と定性調査に分類することができる。
定量調査は、傾向・割合・ボリュームなど結果が「数値」で表される調査を指す。
結果の解釈やデータ集計がしやすいのが特徴で、顧客課題を大雑把に把握する際や、
仮説検証、広告の効果測定などでよく利用されている。
インターネットリサーチ・郵送調査・電話調査・訪問調査・会場調査などは定量調査である。

定性調査は、数値になかなか表れてこない個人の価値観や感情を「言葉」で把握する調査を指す。
グループインタビュー・デプスインタビュー・観察調査などが定性調査だ。

たとえば30代・女性・既婚・子有りの10名に対して「育児に関するインタビュー調査」を実施した場合、
「毎日、育児と仕事の両立で本当に忙しいけど、基本的に充実している。ただ本当はもっとパートナーとの
時間を持ちたいし、2人でデートもしたい。そう言えば今年は結婚記念日祝ってないなぁ…。」のように、
数字では捉えにくい個人の価値観、感情の機微などを把握することができる。
定性調査では言葉だけでなく表情・声のトーン・ジェスチャーなどからも情報を得られるため、
さまざまな発見・気付きを得ることができる。

定量調査と定性調査はどちらが優れているということではなく補完関係だ。
リサーチ目的に応じて適切な使い分けや組み合わせを考えることが重要になる。

では、ここからは定量調査であるインターネットリサーチの企画ポイントをお伝えしたい。

インターネットリサーチの企画ポイント

デスクリサーチ・インタビューは自分自身でリサーチを完結できるが、
インターネットリサーチを実施する為には、基本的に調査会社の協力が必要となる。
調査会社を使いこなして、アクションや意思決定に繫がるリサーチを実施するためには、
調査に必要な基本情報を「調査企画書」へ落とし込めることが重要だ。

調査企画書は調査成功のための地図のようなものであり、正確に、抜け漏れなく記載することが求められる。

調査企画の4つの視点

調査に必要な基本情報とは、
シンプルに整理すると「どうやって・誰に・何を・いつ聴くのか」の4つとなる。

たとえば、あなたがある製菓メーカーの商品開発担当だったとする。
3ヶ月前にスナック菓子の新商品Aを上市したものの売れ行きが芳しくなく、
売上の不調要因と改善策のヒントをリサーチで明らかにする必要がある。
売上状況の分析や、デスクリサーチを通してSNS上の評判やコメントはチェックしたものの、
新商品Aについてのピンポイントな感想や評判を集める事が難しかった為、
インターネットリサーチを実施して消費者の反応を集める必要性がでてきた。
そういった際には、次のような調査企画書を作成するイメージだ。

調査企画書の例

調査企画書を、始めてから独力で作成するのは難しく感じると思う。
ただ、何度か調査企画書を作っていけば慣れていくのでご安心して欲しい。
もちろん、調査会社に相談すれば企画提案を貰うことはできるが、リサーチにおいて企画は最重要工程。

ビジネスプロデューサーを目指すあなたは、自分の頭を使って考えて欲しい。

これまでブログ記事3回続きで、ビジネスプロデューサーが習熟したいリサーチスキルをお伝えした。
特にデスクリサーチとインタビューは、お金をかけなくても実施できるリサーチであり、
現状分析・課題設定においてまずやるべき重要なリサーチ手法なので、ぜひスキルを磨いて欲しい。

これらリサーチ手法をより深く学びたい方は、拙著『マーケティングリサーチとデータ分析の基本』で
リサーチ企画の立て方を詳しく解説しているので、参考にしてもらいたい。

それではまた。

❏書籍紹介
ビジネスプロデューサーの仕事を、新規事業開発の企画プロセスと重ねて解説しています。
よろしければ手に取ってみてください。
>>『多彩なタレントを束ね プロジェクトを成功に導く ビジネスプロデューサーの仕事』

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執筆者

中野 崇のアバター 中野 崇 ビジネスプロデューサー/ビジネスデザイナー

・法人向け:新規事業開発と組織開発の伴走型・自立支援型コンサルティング
・個人向け:自分らしいキャリアデザイン支援(コーチング)
・モットー:家事育児、ときどきビジネスデザイナー
・抽象概念と具体的施策の間をつなぐ実践知の体系化が得意
・好きな漫画:「うしおととら」「キングダム」「清く柔く」 など

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