営利企業である以上、永続的な利益を追求していく事は当然の経営責任である。
利益が無ければ給料を払うことも出来ないし、新しい投資をする事も出来ない。
給与が上がらない、新しい事が何も始まらない企業には閉塞感が漂い、
社員は希望やモチベーションを無くす悪循環に陥るだろう。
優秀な人材を採用できないし、優秀な人材をリテインすることもできない。
従って利益を追求する事は健全であり、正しいと思う。
では利益は何か?と問われれば、お客様からいただく将来への期待、と答える。
一般的に価格は原価があり、それに付加価値をのせて売価を設定するわけだが、
付加価値は現在の付加価値のみならず、今後高まっていく将来の付加価値、
つまり商品・サービスを向上させる意志をも含むべき、と考えている。
こうした現在と将来の付加価値が、市場から期待されているとき、
その価格が市場の期待と折り合って買われるのだ。
反対に、コモディティ化して期待が小さくなっている商品は価格戦争に巻き込まれ、
安さしか訴求出来なくなってしまう。 それは即ち、その商品が無くなっても代替品が存在していたり、
極端な話この世から消えてしまっても困らない…とも言える。
価格を上乗せできなくなると、利益捻出をBPRなど効率化の追求や人件費削減等でも
実現することになるが、これらは支出を減らす施策であって、収入を増やす施策ではない。
効率化によって生み出した余力を収入を増やす施策へと充当できなれば、
短期的な収益は改善されても、中長期ではジリ貧を招くだけだ。
筋肉質な組織にするという名目で、コストマネジメントをひたすら強化する方針を
打ち出している経営をみると、それは経営の仕事なのか?と疑問をもってしまう。
利益を生み出す為の経営の仕事は、新しい付加価値、
つまり新しい商品やサービスを生み出す為の決断や投資を、先見の明と覚悟を持って断行していく事だ。
経営の役割は会社の未来をつくる事だ。短期的な利益をつくる事ではない。
もっと具体的にいえば、新しい事業創造・市場創造こそが経営の役割なのだ。
欧米や先行他社のマネをすれば売れる商品がつくれる時代があった。
しかし現在は、どの企業も何をすれば成長できるのか、商品・サービスが売れるのかもがき苦しんでいる。
周りを見渡しても答えなどない。
そんな時代において、私たち経営者は新しい付加価値を自らの手で 創出することを、
最優先で考えねばならない。 それにはクリエイティビティと決断力が必要である。
それができない経営者は、経営から降りるべきなのだ。