メンバーに対して適切なアサイメントを考える際、働きがいやパフォーマンス最大化の観点から
Will・Can・Know + Personalityの観点を重視する大切さをお伝えした。
本記事では管理職視点ではなく、メンバー(非管理職)視点に立ってアサインメントを考えてみたい。
自分の給与はPay for performaceになっているか?
昨今は「自分のやりたい事・好きな事をやって、自分らしく生きよう」というWillを尊重する主張が賑やかだ。
私もそれには共感している。一度きりの自分の人生、自分らしく豊かに生きたいものだ。
そうして、自分らしさの追求の結果として起業、個人事業を開業、複業・複業を始めるという人も増えている。
良い流れだと思う。
だが会社から給料をもらっている場合は、Willを主張しつつも、会社が期待する役割・責任=MUSTを
果たすことが前提となる。会社員はたとえ社長であっても、会社のさまざまな資源
(お金、ブランド、チーム、顧客ネットワーク、外注先、貸与PCやスマホ、座席など)を借りて仕事をし、
給料に見合う貢献があるから、給料が支払われているからだ。その事実を忘れてはならない。
貢献が小さければ給料は下がるし、貢献が大きくなれば給料は上がる。
貢献は実績のときもあれば、今後の貢献期待の場合もあるし、その両方の場合もある。
いずれにしても、貢献の大きさ・貢献期待の大きさに応じて給料が決まるのは、ビジネス世界の大原則だ。
これがPay for performanceである。
役職が上がれば会社への貢献期待も大きくなる「はず」なので、給与が高くなる。
年功序列ではこの原理原則が担保されている限り、年功序列は健全なときもある。
しかし現実には、貢献実績が小さいのはもちろんのこと、会社からの将来に対する期待役割やミッション自体が
小さなものになっているにも関わらず、給与は変わらないというケースもある。
極端な例でいえば、メンバーを10人以上抱え、プレイヤーとしても最前線で案件対応している管理職と、
メンバーがおらず、プレイヤーとしての案件対応力も並み以下のマネージャーがほぼ同じ給与、というケースだ。
役職定年などを採用している企業に多く見られるが、まったくPay for performanceではない。
Sustainabilityに欠ける。
Will・Can・Knowの大きさは相対的である
さて、現在・過去の会社への貢献が小さく、今後の貢献期待も(残念ながら)小さいならば、
WillとMustが重ならない可能性が高い。メンバーの立場からすれば自分のWillを最大限尊重してもらいたい
と考えるのは自然なことである。
だが、アサインする管理職や会社の立場からすれば、あるミッションや業務が発生した場合に、
まずはWill×Can×Knowの総合力が高いメンバーに仕事を任せたいと考える。
目標達成や問題解決に責任を負う立場からすれば、成功確率が高いアサイメントを実行したくなるものだ。
これもまた自然な思考である。
このようにWill×Can×Knowの総合力は相対的なものなのだ。
どんなに自分なりに大きなWillを持っている、誇れるCanやKnowを蓄積していると思っていても、
自分よりも大きいWill・Can・Knowをもっている人材が近くにいたならば、
希望通りのアサインメントをされないリスクはあるのである。
したがって、自分のやりたい業務・好きな業務をアサインされる為にも、
Will・Can・Knowを大きくする努力が欠かせない。どれを、どのように大きくするかは好みで良い。
スキルアップや学びに励んでCanやKnowを大きくし、着実に機会を得て、成果を積み重ねるやり方もある。
強いWill(絶対にやりたいです!やり遂げます!)をアピールすることでまず機会をつかみ、
仕事をこなす中でCanやKnowを無理やり大きくしていくというやり方もある。
前者は着実だが成長スピードが遅くなりがちで、後者は成長スピードは速まるが、火傷をするリスクがある。
リスクを避けたいと考える管理職は多いため、CanやKnowの大きな人間に機会を提供しがちだ。
したがって会社員であれば、まずCanを大きくし、その大きさを適切にアピールすることが近道かもしれない。
ちなみに私は常に後者を意識してやってきたが、どちらが良いということでもなく、完全に好みの話だ。
いずれにしても、会社内でやりたい仕事・好きな仕事を任されるようになるには、
「他の誰でもなく貴方に任せたい」と思われるようなWill・Can・Knowが必要になる、ということである。
それではまた。