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【ビジネスプロデューサー④】#2 やっぱり、生涯学習がすごく重要

本記事では、ビジネスプロデューサーの2つ目のコアスキルである「重層的な知識」について解説する。

目次

ビジネスプロデューサーのコアスキル #2 重層的な知識

重層的な知識。
重層的とは「いくつもの層にかさなっているさま。いくつかの要素が組み合わさっているさま」という意味だ。

重層的な知識は物事を掘り下げて深く理解していく探究心(論理優位型)と、
さまざまな事象・テーマに興味をもって学びの対象を広げられる好奇心(情理優位型)によって蓄積される。

探究心が縦の深さを表し、好奇心が横の幅を表しており、その掛け算となる面積が重層的な知識だ。
機織り機でつくられた織物が、何百枚何千枚と頭の中に蓄積されていくイメージが近い。

WEB検索でさまざま情報を手軽に取得できる時代だが、
そこで得られた情報が、自分の頭にある別情報とつながって蓄積されなければ知識にはならない。

情報を頭の中でつなげる為の具体的な工夫は、
新しい情報に触れたときに「関連する疑問を何でも良いから1つ考えてみる」をオススメしたい。

たとえばSDGs。SDGsは2015年9月の国連サミットで加盟国の全会一致で採択された、
2030年までに持続可能でよりよい世界を目指す国際目標であり、17のゴール・169のターゲットから構成され、
地球上の「誰一人取り残さない(leave no one behind)」ことを誓っている。

そのような情報に触れた時に「なぜ期限が2030年なのだろうか?」と疑問をもつという事である。
疑問をもてばその疑問に対する回答を人は自然と考えはじめ、思考が始まると自分の頭にある別情報との
つながりが検索され、知識として蓄積されやすくなると思う。

疑問への答えが出なくてもよく、思考のスイッチが入ることが重要だ。
疑問をもとに追加で調べて答えらしき情報が手に入ったら、その情報は重層的な知識の一部に
なっている確率が高い。

ちなみにSDGsの期限が2030年になっている明確な理由は探せていないが、
SDGsの前身であるミレニアム開発目標(MDGs)が採択されたのが2000年であり、
SDGsが策定されるまでの期間が15年。したがってMDGsとの成果比較をしやすいという観点から、
双方の実行期間を15年間に揃えて2030年になったのではと推察している。
このように思考や追加検索をちょっと付け足すだけで、知識は蓄積されやすくなる。

ビジネスプロデューサーは、多様な専門家のパフォーマンスを最大化することが求められるため、
各専門家が使う言葉を、彼らの文法に照らして理解しなければならず、
的確に理解をするためにも重層的な知識が欠かせない。

多くの専門家が集まって一つのアウトプットをつくる業務として、
システム開発を伴う新規事業がある。戦略コンサルタント、デザイナー、開発PMなどさまざまな専門家で
どのような事業にするか、どのようなシステムにするかを議論するのだが、要注意な言葉がある。

それが「デザイン」である。

デザインは和製英語として定着している言葉だが、
英語のdesigの意味は「設計する、企てる、下図をつくる、意匠をつくる」など多様である。

デザインを扱う職種も、グラフィックデザイナー・Webデザイナー・UIデザイナー・UXデザイナーや
コミュニケーションデザイナー・ビジネスデザイナー、ファッションデザイナー・インテリアデザイナー
など実に多様だ。

たとえば私がビジネスデザインという言葉を使うときは、
「ビジネスモデルを設計する」という意味で使い、コンセプトのような抽象的概念をつくるのではなく、
収益を生み続ける仕組みであるビジネスモデルを組み立てることを意図している。

しかし、ビジネスデザインを「ビジネスコンセプトを見栄えする資料に落とし込むこと」や
「事業環境の分析を精緻に行うこと」という意味で使う人もいるのだ。

どれが正解・不正解ということではなく、1つの言葉をとっても職種やコンテクスト(文脈)によって
使われ方はさまざまであり、その言葉がどのような多義性をもっているか?を知っていないと、
至る所でミスコミュニケーションが生まれてしまう。

しかし重層的な知識があれば、そのリスクを事前に察知できるし、
当該プロジェクトに最もフィットする言葉を再定義することができる。

ビジネスの成否はコミュニケーションの質で決まることも多く、
コミュニケーションは言葉でなされる。言葉の源は知識である。

インターネットやSNSの普及は、新しい概念や言葉の加速度増加をももたらしている。
結果的に、あらゆる言葉が幸か不幸か多義的になっている。

ビジネスプロデューサーは、重層的な知識を武器に、
多様性あるチームやプロジェクトにおける言葉やコミュニケーションを的確にマネジメントし、
ステークホルダーのパフォーマンスを最大化する存在だ。

それではまた。

❏書籍紹介
ビジネスプロデューサーの仕事を、新規事業開発の企画プロセスと重ねて解説しています。
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