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キャリアに悩んだら考えるべき5つのこと

自分のキャリアについて悩んでいる人は多いと思う。
入社して3年目、30歳になる前、結婚・子どもが生まれるなどライフステージが変わったとき、
自分の能力が活かせない部門に配属になった、給与がなかなか上がらない、会社がM&Aされた…などなど。
人によってキャリアを悩みはじめるキッカケはさまざまだ。

この記事では、「キャリア構築に悩んだらまず考えるべき5つのこと」をお伝えしたいと思う。

目次

そもそも、キャリアとは何か

キャリアは英語でcareerと書き、生涯・経歴・履歴といった意味だ。

私なりに意訳をすると、
キャリアとは「ビジネスや人生を豊かにする為に、長期的に積み重ねていく経歴」だと思う。

終身雇用が前提だった時代におけるキャリアとは、一つの企業で様々な経歴を積むことだった。
その代表的な制度がジョブローテーションだ。一方で、転職や副業がしやすくなっている現代では、
どのような会社・場所・働き方で経歴を積み上げるか?を能動的に考える必要ができる。

キャリアを考えるときは必ず転職が選択肢に含まれるので、上司には相談しづらい。
上司からすれば自部門の人員が減るのは避けたいし、退職者がでると自分の管理不行き届きを
指摘される恐れもあるため、基本スタンスは盲目的に慰留となる。
上司の立場的に(残念ながら)仕方がない側面もあるが、そう考えるとホンネでは相談できない。

また社内の同僚にキャリア相談をしても、他社動向を踏まえた客観的なアドバイスを期待できない。
愚痴を聞いてもらうならばよいが、むしろ同僚だって同じくキャリアに悩んでいるだろう。

そこでいわゆる転職サービスに登録し、キャリアコンサルタントに相談するという流れになる。
私も転職時にはキャリアコンサルタントやヘッドハンターと呼ばれる人に相談するし、
転職意向がなくても市場価値を測るために、転職エージェントの方々と定期的にお会いしている。

ただやはり、彼らは人材紹介で商売をしているため、最終的には転職を推奨されることも多い。
転職は選択肢の1つで転職ありきではないのだが、だいたい「とりあえず面接してみますか?」と
言われる。これも仕方ないと言えば仕方ないが、親身にキャリア相談に乗ってくれている感覚は薄い。

では親はどうか?といえば、親世代とビジネスのルールがだいぶ変わっているので、
的確なアドバイスをもらうことは難しいだろう。そもそもキャリア構築という概念が理解されない。

「あぁ困った・・・」と感じている会社員は多い。
客観的にキャリアのアドバイスをもらえる存在を見つけるの非常に難しいのだ。

私自身もキャリアについては悩み続けているし、キャリアに関する本を何十冊も読んだ。
またこれまで何十人ものキャリアコンサルタントの方々ともお話しした。
20年以上の管理職経験を通して、500名以上の部下とキャリア面談も行った。

未だに答えや結論を語れるほど煮詰まってはいないけれども、
それらインプットや自身の実践を通してこう考えるべきではないか?と整理した考えかたが4つある。
ここではその考えかたを1つずつお伝えしていきたいと思う。

キャリアに悩んだら①:キャリアに正解はない

キャリアに正解はない。あるのは自分の納得解だけである。
まずはこの事実を受け入れることが大切だ。

キャリアを考えていると、自分のやりたいことは何か、自分の能力をもっと活かせる職場はどこか、
将来にわたって稼ぎ続けられる職場はどこか、年収をできれば100万円くらいあげたい・・・など、
さまざまな考えが浮かんでくる。

考えれば考えるほどそういった要素が増えて来て、
「それをすべて満たせるキャリアが何なのか、誰か答えを教えてくれ!!!」という心理状態になる。

そんなときはまず、そんなキャリアは誰も知らない。誰かに相談してもわかるわけがない。
自分で見つけて自分で納得するしかない。という苦しいが本質的な事実を理解する必要がある。

キャリアに悩んだら②:欲しいものがわからなければ、手にすることもできない

キャリアについては結局、正解というものはなくて自分で形作っていくしかないとわかったとしても、
どう形作るべきなのかを迷ってしまうのが人間だ。書籍を何冊もよんでも、セミナーに参加しても、
尊敬する人の話を聴きにいっても、いつも何かピンと来ない。常にもやもやしている自分が腹立たしくもある。

私は23歳から働きはじめているので、今年で社会人15年目だ。15年間ずっとキャリアに悩み続けている。
最近になって「なぜこんなに悩みが無くならないのか・・・」と悩んでいる理由を改めて考えてみたのだが、
ひとつの答えに行き着いた。

それは、「自分がなにを求めているかを、そもそも自分がわかっていない」ということだ。

欲しいものが明確になっていないのだ。
欲しいものがお金でない場合、頑張って年収をあげる努力をして、実際に年収があがっても豊かにはならない。
経営者になって会社を動かしたい!という欲求がないにも関わらず、責任が大きい職位を務めたら不幸になる。
欲しいものが明確になっていなければ、なにを手にしてもどこかに違和感が残ってしまう。
なにかが違うと思ってしまうのだ。

またそもそも、キャリアについて考えるべき要素が多すぎるのも問題だ。
収入はもちろんのこと、事業内容・やりがい・働く仲間・労働時間などなど。
人によっては通勤時間なども重要な要素となるだろう。これらをすべて満たす職業・職場など基本的には
ないのだが、心ではそれを求めている自分がいるからやっかいだ。

何かを優先すれば何かが犠牲になるにも関わらず、理想郷を求めてしまう。
欲しいもの・達成したいことの優先順位付けが重要である。

ただ自分が欲しいものを理解するというのは、実は非常に難しい。
私たちは幼い頃から、自分のやりたい・欲しいよりも、公共の精神の名のもとに「他人に迷惑をかけない」という
考えを刷り込まれている。それはそれで、社会が平和に安定するには必要なアプローチなのだが、
個人の幸福感・充実感の観点から言うとマイナスだ。
自分のやりたい・欲しいに鈍感になってしまうと、なにを手にしても充実感を得られなくなるからだ。

この考えるべきことの多さと、キャリアにおける自分の中の優先順位づけができていない、
ということがキャリアの悩みの根本原因だ。

したがって、まずやるべきは的確な自己分析だ。
自分のやりたいこと(Will)×自分のできること(Can)×会社からの期待(Must)の3つ視点は、
リクルートが活用しているものとして有名だが、私はそれにアレンジを加えて、
Will・Can・Know+Personalityの4つの視点を重視して自己分析を行っている。

キャリアに悩んだら③:Will・Can・Know+Personalityの視点で自己分析

Willはやりたい事や意志をもっている事、Canはできる事・得意な事、Knowは知っている事・経験した事、
Personalityは性格や価値観である。 Knowを独立して切り出しているのにも理由がある。
自分ではCanだと認識していなくても、知っている事や経験した事にはCanの種が眠っている事があり、
また詳しい事柄やテーマにはWilが隠れていることもある。

たとえば私の友人に昔からラーメン屋通いが好きなS氏がいる。
彼は美味しいラーメンをつくれないし、ラーメン通として執筆などをしているわけではないので、
ラーメンに関してCanは少ないかもしれないが、「美味しいラーメン屋」「流行るラーメン屋の理由」
などはよく知っている。この知識を活かして後輩をランチに誘ったり、顧客やプロジェクトメンバー
との2次会・3次会でうまい締めラーメンを食す体験を提供できたら、間違いなく信頼される。

美味しいものを食べさせてくれる人には、必ず人やチャンスが集まってくる。
かくいう私も、S氏から秋葉原にある「麺処 ほん田」を紹介してもらい、
その美味しさに感動して以来、S氏への信頼は大きく高まった。
ふざけていると思われるかもしれないが、本質的な話である。

このWill・Can・Know+Personalityの視点については、別記事で詳しくまとめている。
メンバーを丸ごと理解するための視点として紹介しているが、自己分析にもそのまま応用できる。
よろしければ参考にして欲しい。

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キャリアに悩んだら④:わくわくを取り戻せ

自分のやりたい事を判断するために有効なのは、「心がわくわくしているかどうかを考える」ことだ。
この考えに初めて触れたのは、モリウミアスという施設にボランティアで訪れたときだ。
モリウミアスとは、東日本大震災の被災を受けた雄勝市の小学校を、農業・漁業などの一次産業の体験施設として
リニューアルし、被災地に活気を取り戻そうというプロジェクトだ。

このモリウミアスプロジェクトを推進している立花貴さん・油井元太郎さんたちがいつも仰っている事であり、
「心が喜ぶ働き方を見つけよう」という立花さんの著書でも触れられているが、
豊かな生きかた・働きかたには心のわくわくが重要というのだ。5・6年前にこの言葉に触れたときにはギョッとした。

(課題解決のために)やるべき事
(スキルアップにつながるから)やりたい事
(年収を上げるために)やった方が良い事

を考えたことはあっても、それをやったらわくわくするのか?という観点で仕事を選んだことは無かったからだ。
そういった自分の内面に鈍感なまま働いているから、自分が欲しいもの、わくわくするものが思いつかなかったのだ。
皆さんは自分のわくわくする時間をすぐに答えることができるだろうか?


私の場合、職場で過ごしている時間や仕事の時間でわくわくがなくなっていたので、
二年くらい前にこれはいかん!と直感的に思い、職場での滞在時間をどんどん減らし始めた。
また、やりたいと思えない仕事やわくわくしない仕事を減らす努力をした。

もちろんその反動として、「あいつやる気ないな」「大丈夫かあいつ?」など、
若干の批判が出ている噂も聞くが気にしないようにしている。
どこかの歌詞にもあるように噂を信じてはいけないし、自分の職責を果たす仕事は遂行しているからだ。

その減らした時間を、自分がちょっと興味あることや楽しいと感じる時間に使うようにしたのだ。
ありきたりではあるが、好きな本をゆったり読むこと、映画をみて純度の高い涙をながすこと、
お気に入りの音楽をかけながら湯船にのんびりつかること、こうしてブログを書いていること、
友人と釣りにいくこと、公園をぶらぶら歩くこと、そして奥さんとの食事の時間などだ。

お金もかからないし、難しいことでもない。
でもこのような時間をおざなりにしていたことも事実で、悲しいことに、
最初はこれら時間を過ごしていても楽しいとか、わくわくしているとか感じられなかった。
心がわくわくに鈍感になっていたのだ。

だが最近は少しずつ変化が出てきた。自分が本当に楽しいな、わくわくしているなと感じる時間が増えてきた。
そして驚いたことに、仕事以外でわくわくする時間が増えていくと、自然と心が前向きで穏やかになり、
場で過ごす時間も以前よりも楽しい時間に変わっていったのだ。相乗効果である。

心に余裕をもって仕事に取り組むようになったことで、変化したことが他にも2つある。
1つは部下との他愛ない会話が増えたこと、もう1つは他人の頑張りに気付けるようになったということだ。
他愛ない会話が素直に楽しいし、他人の頑張りを目の当たりにすると以前より感動するようになった。


こうした自分の変化を少し分析してみると、自分のわくわくポイントが少しずつ見えてきた。
それは、時間に追われてゆったりした時間がない仕事と、感動体験が少ない仕事が好きではない、という事だ。
仕事に追われていた時はこの時間を2つとも失っていた。

私はいま、時間に追われないキャリアを実現するために、不労所得構築の努力を始めた。
また、労働時間ではなく生産性や企画・アウトプットの切れで勝負できるようスキルアップにも努めている。
また業務時間中にも感動体験を求めて、志高く頑張っているNPOの方々を支援するプロジェクトを立ち上げた。
これらに取り組んでいる時間はとても楽しく、自分らしいキャリア構築につながっている手応えがある。

キャリアに悩んだら⑤:キャリアデザインはライフデザインの一部だ

この実体験を踏まえて私が最後に言いたいのは、キャリアや自分のWillを考える際に、
仕事の時間だけにフォーカスして考えていても答えはでないということだ。
人生全体における時間の使い方を見直し、自分が楽しいと感じる時間をとにかく増やしてみることをオススメする。

その結果、自分が楽しい・わくわくしていると感じている理由を掘り下げて考えて、
それを仕事上で実現するにはどうしたら良いだろう?と考えていくのだ。

すぐに理想のわくわくを手にする状態にはならないだろうし、場合によっては今より収入が減る場合ある。
しかし収入が減ったとしても、自分にとって大切な時間や価値(=ポジティブな変化)を得られていれば、
それで良いと思う。

もし収入や働きがいなどに物足りなさが残ったとしたら、その配分を崩さない前提でスキルアップや努力をするのだ。
その時には生産性が重要になる。生産性の向上は目的ではなく手段である。

大切なのは、
「自分がわくわくする時間を第一に、自分が欲しいものを得るための最適バランスを見つけること」だ。


こうしたアプローチはライフデザインとでも呼べば良いのだろうか。
豊かなキャリアは、豊かなライフデザインの一部なのだと思う。

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執筆者

中野 崇のアバター 中野 崇 ビジネスプロデューサー/ビジネスデザイナー

・法人向け:新規事業開発と組織開発の伴走型・自立支援型コンサルティング
・個人向け:自分らしいキャリアデザイン支援(コーチング)
・モットー:家事育児、ときどきビジネスデザイナー
・抽象概念と具体的施策の間をつなぐ実践知の体系化が得意
・好きな漫画:「うしおととら」「キングダム」「清く柔く」 など

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